待合室と夏の食材

家庭料理

昔から短編集が好きでよく読みます。
スキマ時間や寝る前のひと時などにちょうどいい。
だから銀行や病院で待たされるのも気にならない質です。


窓口で要件を伝えたら、テレビからは極力遠くて、居心地のよさそうな椅子をさがします。
出来るだけはじっこの、静かそうな人の近くが理想。
でもなかなかそうゆう場所は確保できないものですね。

待合室

先日健康診断の結果を聞きに病院に行った時のこと。
待合室にでんと置かれた大画面テレビでは東京オリンピックの男子水泳が放映されていました。
自称、運動音痴日本代表のわたしは、もちろんバリバリの金槌。
いまでこそ、筋トレだのロードバイクだのヨガだのと申しておりますが、人生最長で泳げた距離は15mです。なかなかのものでしょう?

話は病院待合室に戻ります。
新たな感染症の流行で、病院の待合室に置かれている椅子は50cm程の距離を保ちまだら模様。
私はテレビに用事はなく、本を静かに読める場所をさがしましたが適当な場所が見つかりません。
面白いことに、まだら模様の椅子に座る人々も更にまだら模様に座っている為でしょうか。
もうすっかり定着してきた”パーソナルスペース”を皆さん守っておられるのでしょう。

仕方なく、一番はじっこの70代後半とおぼしき男性の隣に席をきめて座りました。
私はさっそく大好きな宮尾登美子さんのエッセイを開き、本の世界に吸い込まれていきました。
こうゆう時、まわりの音は遮断され本の世界に自分がいる感覚になりますよね。

けれど隣に座る男性の静かで熱い応援の熱量が私をオリンピック中継のテレビの前に引き戻しました。
決して声を出すわけではなく、小さな声でブツブツと何かを言い、声よりも鼻息の方が荒いんじゃないかと思うほどフンフン言いながら画面を食い入るように見つめておられました。

正直はじめはちょっと迷惑に思いましたが、あまりに熱中しているその姿に次第にほのぼのした気持ちになりました。そして私も本を閉じて、名前を呼ばれるまで黙ってテレビを見ることにしました。

夏の食材

病院帰りにスーパーによると地元で採れた農産物のコーナーが賑わっておりました。
新鮮だけど、ちょっと不格好なきゅうりと寸足らずとおぼしきオクラ。
そして、当地では夏の間しかお目にかかれないなますかぼちゃをゲット。お魚コーナーでは、旬のアジが小ぶりだけど5尾で¥298だったので買ってきました。

アジは南蛮にしよう。
3枚におろし、粉を付けて揚げる。アツアツの状態で予め作っておいた南蛮のつけ汁に投入。
そこに玉ねぎやお好みの野菜も入れてなじませる。

オクラはサッと茹でて。私はちょっと歯ごたえが残る程度が好き。
鰹節とちょっぴりのお醤油をかける。

なますかぼちゃは、私の父方のおばあちゃんがよく作ってくれた夏休みの味。
カニカマと、千切りして塩もみしたきゅうりとマヨネーズを和えるだけ。
これだけでじゅうぶんおいしいのだけれど、私はここにごま油をひとたらしして、胡椒をひく。
我ながら自画自賛。夏の夕食ができました。

オクラのお皿はいつの時代のものか忘れましたが、古道具屋さんで¥300くらい。
この淡い色と大きさがいろいろなお料理にあう気がしてお気に入りです。値段の割に丁寧に作ってあるのもグッドです。

なますかぼちゃのお皿は昭和初期から大正期のものだそう。安くして頂いてこちらも¥300。
工房で流れ作業的に書いたのだろうなぁと思わせる自由な筆跡と使いやすそうな深さが気に入って購入。

このお皿にはどんなお料理をのせて食べていたのかな。

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